適温の違い
お茶の味は茶葉の違いだけでなく、水、お湯の違いによっても味が変わってきます。そして茶葉によって適したお湯の温度があります。
それらについての理解と適温の把握をしてもらった 上で、お茶を淹れる実践へと移ってもらいます。
水がお茶の味を左右する
水はお茶の味に直接影響するので、十分に気を付けなければなりません。一般的に日本茶には硬度の低い軟水が向いているとされています。硬度を測る事は一般的には難しいですが、硬度が30~80程度が最適で、お茶の味や香りが引き立つとも言われています。
水の硬度は水中に含まれるマグネシウムやカルシウムの量によって決まります。多く含まれるほど硬度が高く、少ないほど低いです。
ヨーロッパの水は硬度が高く、逆に日本の水は高度が低い軟水になっているので味に癖がありません。日本茶を淹れる際には日本の水道水を沸騰させて使用するのが手軽なのでお勧めです。
種類によって適温が変わる
日本茶は淹れる温度によって香味が変化してきます。
例えば煎茶の場合、熱湯で淹れると渋味が強くなり、低温でゆっくり淹れるとうま味を感じます。これだけなら低温の方が良さそうに感じますが、熱湯で淹れた方が香りが立ちやすいので飲む意欲を沸かせてくれます。
これはうま味を担当する成分、アミノ酸が溶け出す温度が50℃なのに対して、渋味のもととなる成分、カテキンが溶けだすのが80℃付近だからです。
お茶の種類別に考えると、うま味を感じたい玉露やかぶせ茶、上級煎茶などは低温で淹れ、下級煎茶や番茶、ほうじ茶などは熱湯でさっと淹れて程よい渋味と香りを楽しむのが基本となります。
分かり易いように温度別で区分した物が下記になります。
90~100℃に適したお茶
- 釜炒り茶
- 番茶
- ほうじ茶
- 玄米茶
- 粉茶
70~80℃に適したお茶
- 煎茶
- 深蒸し煎茶
- 蒸し製玉緑茶
- 茎茶
- 芽茶
- 抹茶
50~60℃に適したお茶
- 玉露
- かぶせ茶
お湯の温度を下げる
上記のようにお茶にはそれぞれ適した温度があると理解していただきましたが、その温度へ調節する為に沸かした熱湯を放って冷ましたり温度計を用いて調節するのは少々手間がかかります。
その手間を省くための行動があります。それは「お湯を移す」という行為です。
気温や材質によっても変わってきますが、お湯は器を移す毎に約5~10℃温度が下がります。この現象を利用してお湯の温度をコントロールすることができます。前のページで紹介した「湯冷まし」という茶器はこの時に使用します。
もし時間をかけて冷ます場合は1~2分待つことで5℃下がるのが目安となります。
