Lesson8-3 日本茶の提供 四季

四季のおもてなし

前のページで紹介したように、おもてなしの基本は主催者とお客様がお互いに気持ちよく過ごせることです。しかしだからといって1度気に入ってもらえた方法を何度も行っていては「飽き」が来てしまいますし、四季によっては苦痛に思えてしまう事もあります。

そのため、おもてなしをする際は丁寧に淹れるだけでなく、どのお茶を用意して、どの茶器を使うか、どんなお茶請けにすればよいかなど、様々な要素を考慮してコーディネートしなければなりません。

おもてなしのマナーを守りつつ、心配りに気を付けながら実践してみましょう。

その1つの例として、季節ごとのおもてなしの仕方について説明していきます。

春のおもてなし

桜道

春は花見やひな祭り、子供の日など人生の節目や門出を祝う行事が多く見られます。お茶請けにはそれらの行事にちなんだ桜餅やヒナあられ、柏餅などをベースに組んでみると話のタネにもなり易いです。

また、春は新茶の季節でもあるので新しい茶葉を用いて新鮮な気持ちでお客様を迎え入れましょう。

茶器や飾りは桜や桃、新緑をモチーフにした柄を用意し、色はピンクや黄色などのパステルトーンでまとめると春めいた演出をすることができます。

夏のおもてなし

暑い夏にはとにかく「涼しい」をテーマに組んでみるのが得策です。

日本特有の風鈴やすだれで季節感を出しつつ、ブルーやグリーンなどの寒色系が主体となっている透き通ったガラス製品を用いると清涼感が体で味わえます。

お茶も熱い物ではなく、涼しい冷茶を用意するようにしましょう。お茶菓子も透き通っていたり冷やしておける水羊羹やゼリーが有効です。

絵柄や装飾品は朝顔やひょうたん、梅雨時にはアジサイ柄を選んでみるのも一興です。

秋のおもてなし

紅葉

秋は紅葉や十五夜など穏やかな雰囲気を楽しむ季節でもあります。そして次第に寒くなって行く季節なので日本茶の温かさが恋しくなってきます。

中秋の名月や紅葉、ススキなどを用いて自然の穏やかな雰囲気を演出してみましょう。オレンジや明るい茶色など、暖色系でまとめるとしっくりきます。

お茶菓子は旬の果物、特に栗を主体にした物紅葉の形をしたもみじ饅頭、他にも月のウサギをモチーフにした物を選んでみても面白いでしょう。

冬のおもてなし

冬は夏とは正反対に「暖かい」をテーマに組んでみましょう。

茶器も熱いお茶をすぐに淹れることができる火鉢や鉄瓶を使用したり、素朴な温かさを感じられる土物の茶器を使用するなど好みによって色々揃えてみてください。間接照明を白熱灯にして温かみを演出するのもいいでしょう。

お茶は湯気が立つほど温かい番茶やほうじ茶を用意して、お茶請けにはせんべいや焼き菓子が良い組み合わせになります。