近畿地方
近畿地方では京都を中心に古くからお茶の栽培がおこなわれてきました。そのため、その長い歴史のおかげで支え続けられた銘茶や、地域の伝統を受け継ぐ小さな産地も数多く存在しています。
とりわけ宇治茶は鎌倉時代から高級茶として知られており、栽培法や製茶法は各地に多くの影響を与えました。
一番茶の時期:4月下旬~5月中旬
宇治茶(京都府)
京都府の南部に位置する宇治市とその周辺で栽培されているお茶を宇治茶と呼びます。豊かな自然に恵まれ、栽培が始まった鎌倉時代から現代への時の流れの中で銘茶として扱われるようになり、全国に知れ渡るようになりました。さらに名前だけでなく、製茶の技術も宇治茶の製法にならったものが多いです。
さらに煎茶づくりの基礎ともなる手揉み製法や、被覆栽培を行う事で玉露を生み出したりと従来の物だけでなく、新しい茶の開発を模索することにも余念がありませんでした。
現在の宇治茶は碾茶・抹茶と玉露の生産が中心となっています。といってもそれだけでなく、市外の山間部では煎茶も作られています。また、この地域では生産量よりも品質の方にこだわりを見せており、高級な碾茶や玉露には手摘みの一番茶が使用されています。
有名な商品だと抹茶「瑞縁(ずいえん)」「成里乃(なりの)」や玉露「紫雲(しうん)」「宇治玉露 甘露(かんろ)」などがありますが、どれも少々値が張るので時と場合を考慮して使用しましょう。
朝宮(あさみや)茶(滋賀県)
滋賀県の南東部、旧信楽町で生産されているお茶を朝宮茶と呼びます。このお茶は狭山・宇治・川根・本山と並んで日本の5大銘茶として知られています。他にも最澄が伝えたとされる伝説もあります。
煎茶の朝宮茶は清涼感のある香りと上品な甘みが特徴的です。また、特別に管理された茶園で一芯二~三葉を摘み取って作った一番茶の煎茶「朝宮の粋(すい)」という商品もあります。農薬を使用せず、有機肥料のみで栽培されたこのお茶は味と香りがとても良いと評判です。
大和茶(奈良県)
最澄が伝えた朝宮茶と同様に、大和茶にも弘法大師が伝えたとされる長い歴史があります。
県の北東部にある大和高原を中心に作られており、温暖かつ1日の温度差もあって降水量も多く、広大な茶園が広がっています。日照時間が短いので茶葉がじっくりと育ち、うま味の多いお茶が栽培できます。
煎茶や碾茶などを栽培しており、特にかぶせ茶が有名です。
その他の有名なお茶(近畿地方)
- 京番茶(京都府)
- 土山(つちやま)茶(滋賀県)
- 月ヶ瀬茶(奈良県)
- 川添茶(和歌山県)
- 丹波茶(兵庫県)
- 母子(もうし)茶(兵庫県)
