Lesson10-5 各地のお茶 中国・四国

中国・四国地方

中国・四国地方では生産量はそこまで多くありませんが、豊かな自然で栽培がおこなわれ、その中で発展していった個性豊かなお茶作りが受け継がれています。このような栽培法が多いことから、地域密着型のこじんまりとした産地が残っています。

中でも高知県では清らかな水に恵まれ、寒暖差のある山間部を中心に力強い味と香りを持つお茶が栽培されています。他にも発酵茶の碁石茶やそれぞれの個性を持たせた番茶など、ユニークなお茶が数多く存在します。

一番茶の時期:4月下旬~5月上旬

大山(だいせん)茶(鳥取県)

日本の名峰の1つ、大山に広がる丘陵地で生産されているお茶を大山茶と呼びます。県の中西部に位置するこの一帯は県内で最大の茶産地でもあります。

鳥取県は山陰地方の中でも雪が多いため、お茶を生産する地域は少なくなっています。また、大山町は山間地ならではの気候と清らかな森の水を活かし、約30年前にお茶の生産を始めた比較的若いお茶でもあります。

若い茶園という事もあって健康志向な現代の考えも取り入れており、「安全で安心なものを提供したい」という考えの基、栽培を行っています。その考えを最も象徴する特徴として無農薬、有機農法を初期の段階から取り入れており、肥料などにも気を使って土壌そのものを良くしようと努力を続けています。

このような手間暇をかけて作り上げたお茶は煎茶やほうじ茶などだけでなく、和紅茶などにも製茶して県内や近県から人気を集めています。

阿波番茶(徳島県)

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阿波番茶は徳島県の山間部地に伝わる珍しいお茶で、現在でも県の中部や南部で生産されています。元々は日常的に飲むお茶として伝えられてきましたが、その親しまれた歴史は積み重ねられて行き800年もの年月を持つようになりました。

一般的な番茶とは異なり、一番茶を使用して製茶するのが特徴の1つです。ですが新芽のうちに摘み取らず、夏まで成熟するまで待って刈り取るので、「番茶」ではなく「晩茶」として表現される事もあります。

そして特徴的なのは製茶方法も同じです。摘み取った茶葉を1度蒸すか湯がいてから揉んで、やわらかくなった茶葉を樽の中で1~2週間ほど発酵させて天日乾燥を施して仕上げます。

乳酸菌発酵なのでお腹にも優しく、カフェインの量も少なめなので、健康茶としての需要も高いです。近年では貴重なお茶をして注目されています。

碁石茶(高知県)

碁石茶は世界的にも珍しい発酵茶の1つです。製造中に3cm角に切り出した茶葉をむしろに広げて干す様から、碁石のように見える、と言われ碁石茶と呼ばれるようになりました。

生産の時期は夏ごろから始まり、摘み取った茶葉を蒸し桶で約2時間ほど蒸した後、ムロに数日間寝かせて発酵させます。そして発酵が進んだら桶に入れてさらに発酵を進めさせます。その後、茶葉をほぐさずに切り分け、四角い塊のまま乾燥させて完成です。

植物性乳酸菌から生まれる甘酸っぱい味わいと香りが特徴的で、乳酸菌の量は後発酵茶でもあるプーアル茶の約20倍とされています。砂糖やハチミツを入れて甘みを付けて楽しむ方法もあるお茶ですが、現在では生産量が少ないため幻のお茶と言われています。

その他の有名なお茶(中国・四国地方)

  • 海田茶(岡山県)
  • 用瀬(もちがせ)茶(鳥取県)
  • 出雲茶(島根県)
  • 小野茶(山口県)
  • 寒茶(徳島県)
  • 高瀬茶(香川県)
  • 富郷(とみさと)茶(愛媛県)
  • 新宮茶(愛媛県)
  • 土佐茶(高知県)