九州・沖縄地方
気候が温暖な九州地方はお茶作りがとても盛んな地域でもあります。どのくらい盛んかというと沖縄県を除く九州7県での生産量が日本全国のお茶の生産量の4割以上を占めているほどです。
しかも量だけでなく、様々なお茶が生産されているのも特徴的で、鹿児島県の煎茶をはじめ福岡県の玉露や碾茶など、有名なお茶が数多く存在します。
また、九州では古くから中国や朝鮮半島との交流が盛んだったこともあり、釜炒り茶や蒸し製玉緑茶といった独特のお茶文化が伝えられてきました。こうした伝統が今もなお多く受け継がれており、それを魅力として売り続けています。
一番茶の時期:3月上旬~5月上旬
八女(やめ)茶(福岡県)
八女茶は県の南東部に位置する八女市を中心に生産されているお茶の総称です。筑後平野の南を占める一帯は温暖かつ昼夜の気温差が大きく、矢部川の流域で霧が発生しやすい土地です。これらの条件がそろい、上質なお茶が育っていきます。
生産の主流は煎茶ですが、かぶせ茶なども製茶しており、山間部では玉露も生産されています。特に玉露は生産量でも全国1位の座に位置しており、品評会でも優秀な賞をとり続けて全国的に知られたお茶でもあります。
温暖な地域という事もあって一番茶の収穫時期は4月中旬と早く、環境的には二番茶、三番茶とたくさん収穫することができるのですが、ほとんどの茶園は二番茶までしか摘み取りません。こうすることで枝葉が大きく育ち、翌年の一番茶が美味しく育つようにしているのです。
嬉野(うれしの)茶(佐賀県)
県の南西部にある嬉野町周辺にはなだらかな山間に茶園が広がっており、この古くから伝わる茶産地から生み出されるのが嬉野茶です。また、この土地は日本で初めて釜炒り製法が伝わった産地としても有名です。
高温で熱した釜で茶葉を炒って発酵を止める釜炒り茶は生産量こそ少ないですが、嬉野茶ならではのお茶として根強い人気があります。現在では蒸し製玉緑茶の生産も盛んに行っており、深い色艶と強い味や香りが特徴的です。
中には現在では珍しく、伝統的な砂炒り製法で作られたほうじ茶「茎ほうじ茶」などもあり、特徴的なお茶が数多く存在する地方でもあります。
五島茶(長崎県)
県の西部、東シナ海にのぞむ五島列島では温暖な気候を活かし、1997年から茶栽培がおこなわれた若いお茶があります。
元々は五島牛の産地として知られており、たい肥をふんだんに使える環境でもありました。そしてそのたい肥を使用して自然農業によるお茶の栽培がおこなわれるようになりました。
蒸し製玉緑茶「五島の息吹」は五島茶の人気商品で、五島茶特有の甘みと口当たりの良さを感じさせながら少ない渋味とコクを併せ持つ特徴的なお茶です。
