煎茶
歴史のページでも説明したように、煎茶は日本茶が庶民に知れ渡るきっかけとなった功績の大きい日本茶です。なので日本茶と言えば煎茶を思い浮かべるほど、日本人になじみの深いお茶となりました。そのため静岡県や鹿児島県をはじめ、全国の茶産地で生産されています。
また、煎茶の中には「深蒸し煎茶」という種類もあるので、区別するために「普通(蒸し)煎茶」とも呼ばれています。
普通蒸しと深蒸しとの違いは蒸し時間の長さです。普通蒸しの場合は蒸し時間が30~40秒の物で深蒸しと比べて2~3倍短い長さになっています。
茶葉の色は深い緑色をしており、上質なものほど色鮮やかで艶も生まれ、葉がピンと針のようになっています。お茶にすると黄色~黄緑色の透明感を持っており、爽やかな香りに伴って、甘味、渋味、苦味、うま味などのバランスがうまくとれた味わいになっているのが特徴です。
深蒸し煎茶
上記の煎茶よりも蒸し時間が2~3倍長い、つまり1~2分間蒸された状態で出来上がる煎茶の事を、深蒸し煎茶と呼びます。
蒸し時間を長くしたことで渋味や苦味が抑えられ、まろやかな味わいになります。また、蒸し時間が長くなることで茶葉が製造中に砕けやすくなり、普通の煎茶に比べると粉や細かい葉が多く見られるようになります。
味が濃くてまろやかになるのですが、細かい茶葉や粉が多いのでやや濁ってしまい、人によっては粉状の茶葉の舌触りが苦手という人もいます。
こちらも普通の煎茶と同様、生産量は多く全国各地で作られています。さらに煎茶の生産量の約7割が深蒸し煎茶だと推定されているのです。
なお、この深蒸し煎茶よりも長く蒸して作られた茶葉を「特蒸し茶」と呼ぶことがあります。
玉露
玉露は強いうま味と甘味を併せ持っており、日本茶の中でも最上ランクのお茶になります。
この特殊な立ち位置にあることから普通の日本茶のようにのどを潤すために用いられるのではなく、楽しむための飲み物だと捉えられています。ほんの少量の玉露を口に含み、しばらく舌の上に置いておくと海苔を思わせるような独特の香りとうま味が広がって行き、気分を優美な物へと変えてくれます。
この香りは「覆(おお)い香(か)」と呼ばれ、玉露を栽培する為に使われる覆い下栽培(被覆栽培)を行う事で生まれます。茶摘み前の20日前後にワラやヨシズなどで茶園を覆い、一時的に日光を当てないようにします。こうすることでうま味成分が渋味成分へと変わってしまうのを防いでくれるのです。
この製法によって生み出された茶葉は煎茶の物より太めで、より品質が高い物になればなるほど淹れた時の色は透明感を増します。ですが産地によっても変わりますので、一般論として認識してください。
産地は京都府の宇治や福岡県の八女(やめ)などが有名です。

