Lesson4-2 お茶の種類 その2

かぶせ茶

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かぶせ茶は煎茶の渋みを感じつつも玉露のうま味を併せ持つ少し特殊なお茶です。漢字表記にすると「冠茶」になりますが、これで「かぶせ茶」と呼びます。

なぜこのようなことができるかというと、玉露の説明でもあった被覆の時期を20日前後ではなく、1週間から10日ほどの長さにするからです。これにより煎茶の爽やかな香りと渋味を出しつつ、渋味にならなかった玉露のようなうま味も残るのです。

さらに2つの味を楽しむだけでなく、淹れ方によってもまた変わった味わい方が出来ます。

ぬるめのお湯でじっくり時間をかけて淹れると玉露のように上品でまろやかなうま味が生まれ、逆にやや熱めのお湯で淹れると渋味が出て来て煎茶のように爽やかな味が楽しめます。まさに一石二鳥なお茶なのです。

代表的な産地は三重県で、かぶせ茶の出荷量は1位に座しています。

釜炒り茶

今までの茶葉の製法が蒸す方法だったのに対し、釜炒り茶は名前の通り釜で茶葉を炒ることで発酵を止める製法です。また煎茶の場合は製法の最後に精揉(せいじゅう)という茶葉の形を整える工程があるのですが、釜炒り茶にはこの工程がないので茶葉がまっすぐにならず、勾玉状にカールします。

この事から釜炒り茶は別名「釜炒り製玉緑茶」と呼びます。この製法は16世紀頃に中国から渡ってきて、今もなお親しまれています。

釜炒り茶の特徴は淡い黄色のお茶の色だけでなく、香りの高さが最も印象的です。炒る事で茶葉の青臭さが消え、香ばしい「釜香(かまか)」が生まれてさっぱりした味わいとなるのです。

主な生産地は九州地方に集まっており、特に宮崎県の高千穂や佐賀県の嬉野(うれしの)などが有名です。

蒸し製玉緑茶(むしせいたまりょくちゃ)

上記の釜炒り茶の製法で説明したように、煎茶などの場合は最後に茶葉をまっすぐにするために精揉という工程をします。ですがその工程を行わない蒸し製の茶葉を蒸し製玉緑茶と呼びます。また、形が勾玉状でグリッとした形になっているので「グリ茶」とも呼ばれています。

蒸し製玉緑茶の誕生は大正時代の末期までさかのぼります。

当時、ロシアでは中国産の釜炒り茶が主流だったのですが、日本もロシアへと輸出する為に開発をはじめたのがきっかけです。その過程で煎茶の機械で釜炒り茶に似せて作りだしたことからはじまり、完成へと繋がりました。

蒸し製玉緑茶は釜炒り茶よりもやや緑色が強く出て、黄緑色のお茶になります。味わいも普通の煎茶に比べて渋味が抑えられ、まろやかになるのが特徴的です。

現在の生産地は九州地方をはじめ、静岡県の一部でも生産されています。