煎茶の製造工程
前のLessonでお茶の種類について学びましたが、その中で茶葉本来の品質が違う事よりも製造工程の違いによって種類分けがされていることを学ばれました。
1つ1つの製造工程を説明すると混乱してしまうので、まずは基本となる煎茶の製造工程について説明していきます。
荒茶の製造
まず日本茶の全てが通る基本となる形、「荒茶」になるまでの製造工程を説明していきます。荒茶はお茶の原料になる葉や茎、粉が混じりあい精製途中の段階で、茶農家でこの状態まで作ります。
1:茶摘み
茶葉を摘み取る時、先端のまだ開いてない芽とその下の葉っぱと一緒に摘み取る「一芯二葉」の状態にします。気温が上がって茶葉の成長が速い時には「一芯三葉」で摘み取る時もあります。
品質的には手摘みで行った方が良いですが、効率よく大量に摘み取るには機械の方が重宝され、収穫量も約200~300倍ほど変わってきます。
2:蒸し
茶葉は摘採後、酵素の働きによって酸化が進んでいき、品質が下がって行きます。なのでその働きを止めるために熱を加えます。一般的には「蒸し」の工程ですが、釜炒り茶の場合は「炒る」工程になります。
また、火を入れる事は発酵を止めるだけでなく生葉の青臭さをなくし、繊維を柔らかくして今後の作業を行いやすくします。
3:葉振るい(はぶるい)
葉振るいとは生葉を蒸したことで出来た葉の表面に着いた水分を除去する作業です。
ここからの作業は助炭(じょたん)という火などの熱源を持った焙炉台の上で行います。ここでの作業はあくまで表面の水分を振るい落とすことが目的なので、上下に振らして水気を飛ばしていきます。
4:手揉み
葉振るいの時と同じように助炭の上で行い、手で揉んで表面が乾燥しないよう湿った感じを保ちながら徐々に水分を抜けさせていきます。こうすることで細胞を壊していき、味を出やすくします。なお、一気に壊してしまっては味も壊してしまうので、約4時間という長い時間をかけて手揉みを行います。
5:乾燥
手揉みが終わると、助炭の上に先程までの茶葉を薄く広げて乾燥を行います。均一に乾燥させるためにも数十分おきに反転して水分を飛ばしていきます。
これで荒茶は完成し、生葉の時には80%近くもあった水分が4~5%ほどになります。
仕上げの工程
茶農家によって荒茶にされた茶葉は茶商や工場などへと持って行かれ、製品化されます。業者によって方法は変わってきますが、今回は一般的な煎茶の製造工程について説明していきます。
6:ふるい分け・整形・選別
荒茶の状態だと大小さまざまな葉が混じっているので、ふるいや風を利用して粉や芽、茎を分別し、大きな葉を切断していきます。この時に出て来た粉たちを出物といい、粉茶や茎茶として再利用されます。
7:火入れ乾燥
再度乾燥させると同時に、お茶の風味を向上させます。
またお茶の種類によって乾燥の度合も違い、新茶や上級茶は香りを残すために弱めに、中級茶や番茶などは香ばしい香りを出すために強めに行います。
8:合組(ごうぐみ)
消費地の趣向や販売目的に合わせて茶葉をブレンド、加工をして商品価値を上げます。これによってプロの技や個性が出て来ます。
9:製品化
合組されたお茶は計量、品質検査を経て製品用にパッケージされます。この状態になってやっと商品として棚に置かれ、消費者の手に渡って行きます。
